2025/03/15

「カメレオンのみつけかた」第3週-① お話を立ち上げてみよう

★シアターランポンの演劇ワークショップ
『シアターランポンのカメレオンのみつけかた』
第3週-① お話を立ち上げてみよう

・日時:2025/3/15(土)13:30~16:30
・会場:茅野市民館 アトリエ
・講師:シアターランポン 武居卓、細川貴司、草光純太、堀田康平
・参加者:18名
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全5回のワークショップも、いよいよ今日と明日が最終週になりました。
今週は「お話を立ち上げてみよう」。これまで見つけた芝居の種を面白がって演じてみる、最後のちょっとした発表会に向けて、今日・明日は稽古を進めていきます。

●準備運動もささっと手早く

今日は稽古の時間をたくさん取るので、始めの準備運動も手早くささっと済ませました。

(先週やった、同時に3つの“道”をやってみるゲーム。
手慣れてきたのか、今週は混乱も少なくさくっと!)

●何組かが、ちょっとお芝居をお試し

早速、ワークがスタート。武居さん・細川さんからの指名で、何組かが芝居をちょっとお試しでやってみました。

まずは1組目。卒業式の後の教室で、担任の先生から生徒へ最後の話をする設定で、お話を作っていきます。

(先週と同じく今週も、箱から名詞を3枚引いて、
話の中に即興でこの名詞を入れていきます)

生徒みんながいる教室に先生が入ってきて一言、「みんな、目出し帽は取ってくれる?…」から始まり、学園祭の思い出も振り返りながら、「いいクラスでした」とお話を進めます。

1回やってみた後、面白い部分をさらに膨らませていけるように、細川さんや武居さんよりコメントを受けて再度トライ。「これから巣立っていく生徒に、大人の先輩として、何を伝える?」「目出し帽とかを全員で揃えたりしちゃうような、そういう子たちのクラス。目出し帽も逆に感動的になるようなクラスかもしれない」…
新しく引いた単語を頑張って入れつつ、「目出し帽」の要素を残しつつ(!)、やってみました。

(生徒役の人も、先生の話にうなずいたり笑ったり。
学校生活最後の教室の雰囲気が漂います)

(先生からの話の最後には、サプライズで生徒からハグ)

2組目は、喫茶店に集まってお喋りしている3人の女性。
真ん中にいる女性がテレビで量子力学を知り、他の友人に、「量子力学ってすごいのよ!」とお話していく…。

(話す前に、引いた3つの名詞を確認。どうやって量子力学を力説していく…?)

「麦畑を前に、魔女が手でクッとすると米に、今度は手をピッとするとライ麦になる、そういうものなのよ、量子力学って…」と、話している人の身振りと声色、聞いている人の「?」「うんうん」な表情が、話の面白さをさらに引き立てていくようでした。

(魔女が手をこうやると、麦がお米になる?!
分からないような説明なのに、「わかるでしょ?」と話を進めていくのが面白かった!)

3組目は、ばぁばの家に来た孫が、ごはんを食べ終わった後に「ばあばとじいじは、なんで結婚したの?」と聞くシチュエーション。本当のことを答えたくないばぁばは、答えをはぐらかそうとして、作り話でごまかそうとするけれど…?

(「太平洋でしらすを見つけるみたいな、しらす婚」と話して乗り切ろうとするばぁば(左側)と、「ちゃんと話して!」と本当のことを聞こうとする孫(右側))

4組目はドライブデートの2人、男の子の方からロマンチックな話をしている……。最後には女の子の方から、「犬としか話さないお父さん」の話をし始める。

(これまでも、卒業式後の告白とドライブデートをやってきたペア。
引いた名詞を使いながら、ロマンチックに語りました。)

ここまでやってみたところで、一旦休憩タイム……

●いよいよ、稽古へ…!

細川さん&堀田さんのグループ/武居さん&草光さんのグループ のそれぞれに振り分けられて、最後の発表に向け、芝居の稽古がスタート。

(どっちのグループで稽古をする?振り分け発表の時間は、ちょっとドキドキ)

細川さん側のグループは、全員での芝居の稽古からスタート!
殺人事件が起きた洋館。名探偵によって、館の中の人々が集められる(館の女主人、遺産狙いのぼんくら息子、旦那を殺された未亡人と子どもたち、警部…)。そこで、名探偵の推理が始まる……。という芝居です。

(🕵名探偵の名推理、どんな事件で犯人は誰……?)
(名探偵コナンや金田一少年の事件簿、のイメージで……)
(最後に、名ゼリフ「さすがね、名探偵さん…」の、館の女主人)

名探偵の推理の中身は、明日の発表でのお楽しみ!このあとも、さらにグループを分けてそれぞれの稽古を続けます。


2人で「高い猫」の台本を読んでいきます。公園で飼い猫を探すおじさんと、それを見て一緒にお手伝いをしようとする女性、の芝居🐈

(どこらへんに茂みがあって、猫を探す?
「ハチ~、ハチ~」と猫の名前を呼びかけます)

「全く台本通りのセリフでなくてもいい、相手のことを見て、相手と話をして、自分が話したいように話していく」とアドバイスを受けました。
台本の流れを押さえておいて、細かい言い回しとかが台本と違ってもいいから、相手の人と会話をする。誰に話しかけているのかを意識しつつ、猫を探しながら、会話の距離感を掴もうと繰り返し練習しました。


今日の前半でやってみた、「ばぁばと、結婚の理由を聞く孫」の2人組。同じ設定で、さらにアドバイスを受けながら話を作っていきます。

(堀田さん側のグループでも、みんなであれやこれや稽古中)



武居さん側のグループ。草光さんと武居さんのアドバイスを受けながら、それぞれ順調…??


1時間以上も稽古を続けていましたが、集中していると時間が経つのが本当に早い💦
あっという間にワークの終了の時間になりました。
他のグループの芝居は、明日の発表でのお楽しみ!いよいよ明日が、最終回です。


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\カメレオンのうらばなし/

あっという間の最終週。
「お話を立ち上げてみよう」の1日目を、
講師の武居さん、細川さん、
アシスタントの草光さん、堀田さんと
振り返りました。
活動を見守るサポートCの五味さん、
参加者でブログ担当スタッフの山内さんも
感じたことを共有しました。

 

――いよいよ、チームに分かれてお芝居してみる段階にきました。それぞれどんな様子でしたか?

草光 ぼくのところは前回即興でやった「量子力学」と「ドライブデート」で、もっと関わりが持てるように設定を付け足したり、しゃべりやすくしようかな、とやっていました。片方ずつ交代でやっていたんですけど、休憩したとき2チームでいろいろ感想を言い合っていて、すごく能動的に見てくれていた。そこから新しいことが出てきたりして、そういう相互作用みたいなものもおもしろいなあと思いましたね。

細川 ぼくは「じいじとばあば」と「高いねこ」、あと「名探偵あっすー」というのをつくりました。
例えば、最年少のお子さんには話す方と聞く方のどちらがいいか意思を聞いて、そのやりたいほうのなかで、彼女のおもしろさと良さみたいなのが出たらいいなっていうことをプラスして組み上げてみたり。自分がどう見られるか意識がいきやすくなってしまう人には、台本を使ってしっかりお芝居の入口の稽古をして、見ている側にとっては過剰な自意識みたいになってしまうところを取りはらって、素敵なところが出てくるようにやってみました。
あとは、2週目に来れなかった人がいたんですけど、1回目にやっていたように人のお話をしゃべるのを、みんなが楽しめるゲームみたいな設定でできないかなと思って、全員に役を振って……というのをやりました。ある意味、初回からずっと参加しているからこそ手を出せるっていうところに特化してやっていた感じですね。

堀田 今回から参加させてもらったんですけど、最初にみんなの前でやっていた「贈ることば」で、みなさんのポテンシャルというか、それにほんとびっくりして、「あれ、ぼくやる必要あるのかな」っていうくらい(笑)良い意味で、「すごいなあ」って思いました。
その後分かれたところでは、ぼくは2つのグループ「贈ることば」と「遅刻の理由」を担当しました。片方のグループと話して「じゃあ、やってね」って言って、またもう片方とも話して……という進行をしていたんですが、もうちょっと「こうしたらいいよ」って投げかけをできたらよかったかな、と思っていたんです。でもやっているうちに「じゃあ、わたしたちもそっちのグループ見るよ」って協力して、能動的にやってくださって、今までの積み重ねもあるのかなあ、いい方たちだなあって(笑)。いやほんとに素敵だなあと思いながら、やっていました。

武居 ぼくのチームは、雨宿りの傘のお話と、もうひとつ「山に登ってバーベキューしたらオスカルさんとすれ違った」っていう「オスカルさんとすれ違った」の奇妙さで何かできないかなって、それでつくらせてもらったんです。全然何も思いついてなかったんですけど。そしたらね、もう全っ然できなくて(笑)、めちゃくちゃ本気で稽古しました。
けっこう感覚的なお芝居をつくっちゃうっていうのもあるんですが、それを共有するっていうか、まだぼくも見つかっていないから、やっている人は「すいません、これ、何がおもしろいんですか…」(笑)、見ている人は「これは何をひたすらやってるんですか…」っていう目があって(笑)。でもすごくありがたかったのは、「次ちょっとこうしてみて」「こんなセリフ言ってみて」って、口立てで試していくのにすごく反応してくださって。で、ぼくのなかの答えが見えてきて「こういう話はどうですか」って言ったとき、みんな「?(はてな)」から「あー!それなら納得できるかもー」って、突破口が見えた。「雨宿り」のほうは全然できなくて、ラスト10分で「こういうこといいます、こういうこといいます、明日考えておいてください」って(笑)。でも、みんなに見てもらうときの心づもりというか、「わたしたちはこういうおもしろさを持ってやる」っていうところまでいって、ああ、いい稽古の日だったな、と思いました。

五味 わたしはいつも参加したくてウズウズしていたんですが(笑)、今日はランポンさん4人がそれぞれつくっていくところを見られるという「おいしさ」みたいなものがありました。稽古のすすめかたも具体的だったり感覚的だったり、それぞれ違うところを見させてもらって、ここからどういうふうに芝居にしていくのかな、もっと知りたいなって思っちゃいました。

――参加していてどんなことを感じましたか?

山内 わたしは、先週までの1個1個のワークがすごく楽しくて、空気感とか感覚が積み上げられてきたうえに、そこでやってきたことが組み合わされて、人と一緒にやる、つくってみるってなっていて、それが楽しいなあって感じながらやっていました。

武居 稽古しながら「これってすごいことだな」って思ったのは、例えば今日会って、ああいう稽古をしたら、たぶん伝えるのにもっと時間がかかったと思うんです。でも、3日間でああいう時間を過ごしてきて、共通言語というか、感覚のことというか、「こうなんです」っていうと「ああ」ってなる。そういう風にはすぐにはなれないじゃないですか。それが生まれているのが、すごくいいなって。

草光 姿勢が、なんというか上がってるんですよね。

武居 お話の内容でおもしろいんじゃなくて、その人が魅力的だったり、なんだかわからないけど素敵っていうことを浴び続けてきているから、自分もそういうものをやってみようっていう姿勢になるっていうか。

細川 ぼくのところでも、どう見えるか意識しちゃう人が、今日途中でほんとに「きた!」っていうときがあって。「今の超よかった!」って言ったらすっごくうれしそうで、ああ、よかったなあって。自分がやる方のことから、聞くこととか、相手を知ることに意識がいって、相手が反応してくれることのおもしろさを、たぶん途中でつかんだと思うんです。そこを、もし気づいていただけたらうれしいなって思いました。

山内 ちょっと大変そうかなっていうところから、雰囲気も、話している感じも、表情も全然違ってきて、生まれ変わったのかなあってくらい。びっくりしちゃいました。

細川 で、今度また「見られる」ときになると、もう一度自意識が出てくるから、それとの闘いなんですけど、あのとき一緒にやった感覚が残っててくれれば、それがどこかで出るんじゃないかな、と思いますね。

五味 ダンスや音楽、子どもたちに向けたもの……といった、いろいろな活動をやってきているなかで、「演劇」ってやっぱりちょっとハードルを高く感じられちゃうんですよね。今回ここに参加してくれた人のなかでも、「演劇」いいねって思ってくれる人が増えるとすごくいいなと思います。