★シアターランポンの演劇ワークショップ
『シアターランポンのカメレオンのみつけかた』
第3週-② お話を立ち上げてみよう
・日時:2025/3/16(日)13:30~16:30
・会場:茅野市民館 アトリエ
・講師:シアターランポン 武居卓、細川貴司、草光純太、堀田康平
・参加者:20名
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全5回のワークショップも、今日が最終回。
●早速、稽古の時間がスタート
(それぞれのグループに分かれて、昨日の稽古の続き…)
(今日は小道具を持参……?)
(この組は、今日から稽古スタートです)
(稽古中から、周りの人も面白くて笑っちゃってる!)
(昨日の稽古でのアドバイスを思い出しつつ、今日もブラッシュアップ!
猫を探す人の頭になって、相手と会話しながら……)
1時間くらいの稽古の時間も、あっという間⌚
もうちょっと練習したい?いよいよ発表、の直前の緊張?
どきどきソワソワしながら、発表のスタートを待ちます……
●いよいよ、発表の時間です!
(全部で10の芝居ができました。発表の順番は、くじ引きで決定!)
5分ほどの短い、10の芝居を続けてみていきます。
発表が始まる前に、武居さんからちょこっとお話がありました。
みんなが昨日・今日の2回のお稽古で作ってみた芝居も、全然まだまだ稽古の途中の段階のもの。ランポンの芝居の作り方では、ここで出来てきたお芝居から、「そこ、面白いな」「この部分を、もっと発展させていくと面白いものが作れるかも…」とか思いながら見ていくそうです。「ここから、こういう展開になると、もっと作っていけるかな…」といった、お芝居の種をみつけていく。見ている方がみつけていく、この「カメレオンのみつけかた」のワークでもポイント、とのこと。
この発表でも、「ここ面白いな」「この一言からこう展開していくと、もっと膨らませていけるかも…」とか、見ている人も“欲”をもって見ていきます👀
1,茅野ひな祭殺人事件
殺人事件が起きた洋館の一室で、集まった館の人々に対して、名探偵が推理を披露、と思いきや……?
(名探偵あっすーが口を開くと始まったのは、洗濯物干しの話や箸置きの話。
「これはそういう事件です」、ここから真犯人に繋がる、の…?)
2,ごんちゃんたまにはアウトドアで遊ぼうと出かけたら、山のバーベキューで、海外のクラブで、ホテルの朝ごはんのときに、帰りの飛行機で…いろんなところで、オスカルさんと出会ってしまう……気のせい?
(ごんちゃん1人での語りだけでも面白いのに、
そこに絶妙なタイミングで、オスカルさんが入ってきた!)
3,量子力学
喫茶店で集まった女性3人組。そのうち1人が、量子力学のすごさを、他の人に話していく……。
(傍から聞いているとよく分からない話だけど、話している本人たちは楽しそう。
話しながらどんどん話題が変わっていく感じが、「ありそう!」と思っちゃいました)
4,ばぁばとじぃじ
ばぁばの家で、ごはんを食べた後、「ばぁばとじぃじは、どうして結婚したの?」と聞く孫。「本当のことを知りたい!」孫に、上手くはぐらかそうとする…。
(太平洋のしらすを見つける話…、ゴーヤの蔓で入口が隠れている洞窟にいるばぁばを、じぃじが見つけた話…、孫からの質問を作り話で乗り切れる??)
5,遅刻の理由
遅刻した生徒に対して、理由を聞く先生。口が達者な生徒は、とにかく話し続けて、遅刻の理由の正直に話をしない。しまいには、早口言葉で先生を諦めさせちゃう……!
(へその緒のDNAって、お母さんの?自分の?疑問を考えていたら遅れた、これも嘘?
久しぶりにあったコーチと夢の中で長話してた、これは本当?)
6,高いねこ
公園で、「ハチ~、ハチ~」と、いなくなった猫を探す男性。様子を見ていた女性も一緒に探すことになり、「ハチは高い猫、あの猫は安い…」「本当は犬派なんだけど…」と言いながら探していく…🐈
(自分の出番に緊張しながらも、「とにかくやってみるか」の気持ちで相手を見ながら、
やってみました。)
7,おさななじみ
雛飾りの準備をする幼馴染2人の会話です。第2週のワークショップで読んだ荒井さん作の台本を、もう一度同じペアでリーディング🎎
(おみっちゃん家のコタロウはヤギ?羊?「記憶が曖昧…」と言いながら…)
8,贈る言葉
卒業式後の教室で、担任の先生から卒業していく生徒たちに、最後のホームルームの時間。
昨日のワークから稽古を経て、今日も名詞を引いて即興で話をしていきます。
(昨日に引き続き、教室に入ったら生徒全員が目出し帽を被っている設定。
今日は先生も目出し帽を被って、先生からの最後の話。)
9,あまやどり
女の子が雨宿りで軒下に駆け込むと、先に雨宿りしていた人は傘を大事そうに持っている。「そこまで傘に入れてほしい」とお願いしても、なかなか傘をさしてくれない…。
(「友達からの傘だから大事で、どうしても使えない」と…
女の子が諦めて、大雨の中走って去っていった後に??)
10,ドライブデート♡
何回目かのドライブデート🚗 今日も男の子側が、引いた3枚の名詞を使って即興で、「マイクみたいに、2人の幸せを…」「落書きみたいに、伝えたいことがあると…」と、ロマンチックな話をしていきます✨
(話を聞く女の子は携帯をいじり始めちゃったけれど、「今日のために、
昨日スカートを買った」と話します。関係性は進展していると思っていい…?)
自分の発表が終わると気楽になって、初めて見る他の人の芝居に大笑いして…、楽しい時間もあっという間に、全グループの発表は終了しました。
●本当に最後に、みんなで感想タイム
最後は全員で、発表の感想を共有。
・先週のワークショップで自分がした即興の話が、ここの話に入っていた。面白くしてもらって、ありがとうございます!
・出た話をそのまま芝居にしてやっても面白さがなくて、実は稽古の中でいくつもやってみてた。…
・ロマンチックな話で、「小さなバネ」から、バネの力は弱いけれど、受けいれる力が強い、と繋げた、さすが!
・ドライブデートの話は、シチュエーションを変えてシリーズになりそう。でもシリーズになるということは、関係性はなかなか進展しないということ?!
・猫を探す話、最初に探していた飼い主の方が、探すのを手伝ってくれるってなったら、自分が話し始めて、自分で探す気がないように見えたよね。
・雨宿りの傘をあんまり大事に持っているから、傘をくれた友達に何かあったのか、とか、そういう想像も膨らんでいっちゃった。実際の友達のことが頭にあったのかも。
・喫茶店3人組の会話。話題によって、1対2の構図がどんどん入れ替っていくのがおもしろかった。隣に座っていると、思わず「なんの話をしてるんだ?」となっちゃいそう。
・真実めいた演技で、どんどん入っていっちゃった。
・「目出し帽」を実際に被っていなくても、お芝居だと言ったことが真実になる。本当は目出し帽を被っている設定だから皆の目しか見えていない状態のはずだけれど、言ったことが真実になるから被ってなくてよくて、…。
・幼馴染の2人の関係性で、会話の中での言い間違いも、自然に聞こえた。
…などなど。他の人の感想にうなずいたり、一緒に思い出して笑っちゃったり、皆が終始笑顔での感想タイムでした。
発表した芝居の中は、これまでにやってきたワークで、皆さんから生まれた“芝居の種”がもとになっていました。ワークの中で出てきた話を膨らませていたり、即興で出た言葉が芝居の中で使われていたり…。ワークの中で気張らずに、日常の身の回りから出てきた話からここまで面白くなるんだ!と、改めてびっくり。
ランポンさんの芝居の作り方だと、今回のように10ほどのちょっとした芝居を作っても、ここからさらに稽古を重ねていって本番の芝居に使われるのは2~3つほどかな、とのこと。今回のワークショップはランポンさんの芝居の作り方を、ほんのちょっと、入り口の部分を触れられたのかな、の体験でした。
最後に細川さん・武居さんより挨拶。
「このワークショップで、見ている方の見方、面白がって見ることを体験して、ここからまた日常にかえっても、日常の中の些細なことに隠れている“種”を見つけられたり、日常にもっと彩りが増えていくといいな、のワークショップ。…」とおっしゃっていたのが印象的でした。
(最後に、ワークショップ全編を通して見守ってくださっていた五味隊長からもご挨拶。
本当に、ありがとうございました✨)
ワークショップが終わっても、今回参加くださった皆さんの日常が、ちょっと違って感じられたりして、ときに楽しく?面白おかしく?なっていくような感覚がきっと残るんだろうなぁ、と、最後の挨拶を聞きながら、ちょっとしみじみしちゃいました。
これで本当に全5回が無事終了、皆さんありがとうございました!
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\カメレオンのうらばなし/
とうとう最終日。
稽古から発表、感想の共有まで
「カメレオンのみつけかた」のあれこれを
みなさんと振り返りました。
――今日の発表を経て、改めてみなさんの感想をお聞かせください。
草光 見ていて思ったのは、しゃべっていない人の「圧」が人をしゃべらせるっていうのが、どれもうまくいっていましたよね。どうしても、演劇を見ているときってしゃべっている人を見ちゃうようなところがあるんだけど、しゃべっていない人がどんどん魅力的に見えてくるっていうのは、ある関係がうまくいってるんだなあって。それによってしゃべる人も、今まで稽古では出てきていなかったような言葉がぽろっと出てきたりして、そういう影響を与え合っている感じが、すごくおもしろかったですね。
武居 見る側もですけど、やる側も「ここおもしろいな」っていうこだわりがないと、「なんだその話、大したことじゃないじゃん」ってなっちゃいがちだと思うんです。でも、やる側が「ここがおもしろい」ってやっているから、それで成立しているのはすごいなって。
堀田 ぼくは最後の2回だけの参加で、ここまで立ち上がっていく過程を見ていないんですけど、みなさんが堂々と発していたり、動けたりするのを見て、「どんなことしてきたんだろう」って思うくらい。昨日から今日の稽古までの時間で「ああしたい」「こうしたい」っていうのを持ち帰って過ごしたなかで、「こんなこと考えてきたよ」っていうのも聞いたし、それは今日の服装なんかにも表れていたりして、なかなかできることではないよなあって思いました。
武居 失敗しても怖くない関係になったのは、いいなって思いますよね。失敗してもおもしろいところ探してくれますよねっていう関係。
草光 発表になると守りに入っちゃうかなって思ったけど、みんな割と攻めの姿勢で芝居をしていたんで、それはよかったですね。
武居 自分のグループでも、稽古では言っていなかったことを発表のときは言っていたり。このシーンはこういうふうにしたいんだっていうのをちゃんと聞いていて、自分ならこうかなっていう言葉でやっていた。恐れちゃうとできないと思うんですけど、「失敗してもいいや、やってみよう」って感じだったのかなって思います。
細川 コミュニケーションを目的としてつくってはいないけれど、11歳から70代までの人が垣根なく認め合い、みんなのやることをちゃんと見守っていた。つまらないとか下手だとかじゃなく、うまくなくてよくて、間違ってもいいって認め合える場所になれているんだなあ、だからこうやって発表できるんだなあ、すごくいい時間だったなあっていうのを、振り返って思います。
例えば、年下の子が言うことって認めづらかったり、こっちのことなんて理解できないでしょってなりがちだけど、みんな理解しようとお互いが思っていて、そういう環境になっていた。それが宝ものだし、劇場があってできたことだなあって思いました。
山内 たぶん、今日はじめて来て見る人より、積み重ねてきて見ているから余計に、ちょっとしたことがおもしろかったり、「ああ」って思うところがあったのかな、と。その5回がすごく濃いものだったんだなあということを改めて思いました。
細川 それこそ5回でって言ってくださったからこそ、タームを分けて目標を設定して、最後この状態で見てもらうっていう設計ができた。連続していたことがやっぱり重要だったんだろうなって思います。
草光 週ごとに間が空いていたこともよかったんでしょうね。「日常のなかでいろんなことを思い出したり、あの人はこんなこと話していたなってことがいっぱいあったよ」っていう話をさっき聞いて。そういう時間って、すごくおもしろい。
五味 高校生は高校生なりのおもしろさを見つけていたし、年配の方はその方なりのおもしろさを見つけていて、それが融合していた。それは、コミュニケーションをとって仲良くなって、っていう時間をとったこともあるのかなって、すごく感じました。みなさんの感想のなかにも「みんなが集う場所になっている」っていうのがあって、「演劇」とか「表現」っていう以前に、人と人とがふれあうっていうことがあった。本当にランポンさん効果。ありがとうございます。
――昨日、今日と「ここ楽しいから、もっとこうやろう」っていうような「本気の稽古」が少人数ごとにされていて、こういう体験ってなかなかできないなあ、と見ていて思いました。そこからみなさんの「欲」みたいなものが引っ張りだされて、発表でちょっと変わってきているのかなあ、と。
堀田 ぼくのチームも年齢差はだいぶあったけれど、少人数だから、どんな人か知りたいなって「どう思う?」って投げかけたり、話せたり、声を聞いたり、言葉では受け取れない部分のコミュニケーションもできたのかなって。うまくまとめられないですけど。
細川 発表が「やってきたことを間違えないでやる」じゃなかったのが、とてもいいことでしたね。今、新しくここでやってみるっていうのをみんながやっている、というか。なかなかそうならないんだよなあ、でも本番もほんとはそうあるべきだなあって。ぼくらは明日から『カメレオンの陽気なキャラバン』が始まるので、毎日同じ演目をやるんですよね、子どもたちの前で。毎回これぐらい新しくやろう……って(笑)、思いましたね。
五味 ランポンさんたちの引き出しの多さにはびっくりしちゃいました。
草光 引き出しというよりは、みなさんそれぞれ持っているものがあって、どこが舞台上でおもしろくなるかなっていうのをやっている感じかな、と。舞台ってすごく不思議で、舞台上の人の、だめなところが見えれば見えるほど愛おしくなってくる。あの人のいいところを見つけたっていう気持ちにもなるし、自分自身も認められるような気にもなるし。あと、無理してないんですよね、役で。ふだんとかけ離れた役をやっていないっていうのがまた、おもしろかったですね。
――こうして発表をして、「この部分がおもしろかった」「もっとこうしてみてもいいかも」ってみんなで話して……という、《みつけかた》までを体験した今回でしたが、ここから「もっとおもしろいお芝居になるぞ」っていう《つくりかた》が始まる……
細川 例えば、別の2人でやってみるとか、こっちでしゃべっていた話を別のところに移してしゃべってみるとか、やりながらどんどん発想して変化をしながら、いっぱいつくって、稽古して、やっぱりだめだ、いいねっていうのをしていきますね、ここからは。
武居 最後に、この時間を体験していない外の人が今日の発表を見たら、役者さんじゃないのにすっごいお芝居してたね、演じたねって、たぶん思うと思うんですよ。本人たちは演じた、お芝居をした、セリフを言ったっていう気がないまま、でも立派に、ぼくらと同じ演技をしていた。はじめは「お芝居なんて」っていう人もいたと思うんですけど、気づいたらみんなすごいお芝居していたよっていう。それは「しめしめ」だなって思いますね。
